
手仕事が刻む痕跡/Leather damage Pants
- rei
- 10月4日
- 読了時間: 2分
一本のパンツに込められたのは、対極する概念。
「定番、クラシックさ」「異質、ダメージ」
普遍的なシルエットに、あえて異質な素材を重ねることで、新しい在り方を提示している。
フォルムやシルエットについて

股上は程よく深く、太ももから裾にかけて緩やかに細くなる。
ヒップまわりに余裕があることで、穿いたときに自然なリラックス感が生まれる。
長い歴史の中で培われてきたクラシックなフォルム。
その「定番」を土台にするからこそ、異素材の実験が成立する。
馬革という選択

選んだのはオイルホースレザー。
繊維密度の高さが生む強度と、牛革にはないしなやかさを併せ持つ。
厚みを感じさせながらも軽やかで、履くほどに身体へ吸い付くように馴染んでいく。
折れや摩擦の度に表面に艶が重なり、光と影を刻む。
布であれば「色落ち」として時間を語るところを、
このパンツは「艶の深まり」と「皺の刻み」によって物語る。
デニムのエイジングを、レザーの経年変化で表現した一本だ。
ぽっかり空いた穴とそこに残る手仕事の痕跡

ダメージはデザイナー自身の手で刻まれる。
機械的な処理ではなく、アドリブのハンドカット。
削ぎ落とした裂け目には、手縫い用の3本編み紐を一本ずつ通していく。
針を進め、結び、固定する。
ただの「補修」ではなく、手仕事の痕跡を残し再構築する行為だ。
だからこそ、一本ごとに異なる表情を宿す。

クラシックな定番シルエットに、相反する素材と表現を重ね合わせることで生まれたこの一本は、まさに唯一無二。
強さと繊細さ、破壊と修復、その両極が見事に共存している。
テーラードやシャツと合わせればフォーマルに映え、
パーカーやTシャツだけのラフな装いにも違和感なく馴染む。
幅広いシーンを横断できる懐の深さを持ちながら、
らしい異質さを放ち続けるパンツ。
個人的には、余計な装飾を削ぎ落としたシンプルなスタイルで合わせ、
このパンツそのものの存在感を際立たせたい。






コメント